ランデヴー
私は何も答えることができなかった。


彼女の瞳が痛くて、無言で目を逸らす。


典型的な弱い立場の人間がする行動だ。



だが響子さんの言葉で逆に少し落ち着きを取り戻した私は、目の前の紅茶をストレートのまま口に運んだ。


少し渋みのある、それでいて温かい紅茶は、ゆっくりと私の体をほぐしていくようだった。



「私は卑怯な手を使って、あなた達2人について調べました。全て……お話しします」


物腰はとても柔らかでか弱そうでもあるのに、話す声からは凛とした強さを感じさせる。


その彼女がゆっくりと静かに、私と陽介の関係を知った経緯を話し始めた……。
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