ランデヴー
「だから私、言ったんです。『一生を賭けて私に償って。あなたにはその義務がある』って……。まさか本当にそれを受け入れると思わなかった。でも、彼はわかったと頷いて……。もしかしたら、私の両親の働きかけもあったのかもしれない。両親はとにかく激怒していましたから。……そして、私が自力で歩けるようになった頃――結婚しました」


全ての話を聞き終え、私は抜け殻のようにそこに座っていた。


どう反応すれば良いのかわからずに、再びアイスティーを口に含む。


冷たい液体が、渇いた喉を、体を満たしていく。



「あの時のことは、夫だけが悪い訳じゃない。それはもちろん、わかっています。でも私はその時彼に傍にいて欲しかった。支えて欲しかった。ずっと恋い焦がれていた人がどんな形であれ、私の傍にいてくれるんだって思うと……素直に嬉しかった。私をこんな体にしたという事実は消えないけど、それよりも彼を好きだと思う気持ちが……彼の傍にずっといられるんだという喜びの方が、勝っていたんです」


響子さんはそう言って、少しはにかんだような笑みを浮かべた。


私はそんな彼女を、呆然と眺める。



「夫はそれからの人生を、本当に私に捧げてくれました。私は……彼をあの日からずっと縛り付けてる。でもそれは、当然のことなんです。だって私の体がこんなことになってしまったのは、彼にも責任があるんだから……」


響子さんはそう言いながらも何だか少し悲しそうで、思い詰めた顔をしていた。
< 309 / 447 >

この作品をシェア

pagetop