ランデヴー
とにかく、一時でいい。


一瞬でもいい。



この胸が壊れそうな程の苦しみを忘れてしまいたい。


何も考えられないように、脳みそが溶けてしまえばいいとすら願う。



すっかり日も暮れて真っ暗になった部屋の中、私は重い体を引き摺ってキッチンへと向かった。


冷蔵庫を開けると明るい光と冷気が漏れ出す。


私はそこから、冷えたビールを取り出した。



私自身が家でお酒を飲むことはあまりないが、佐和子が遊びに来る時などは冷やしておくことが多い。


先日佐和子が来た時の名残で、今も数本のビールがそこには大人しく並んだままになっていた。



私は更に戸棚の奥から別のビールを取り出すと、1本1本冷蔵庫に詰めていった。


家にあるありとあらゆるアルコールを飲んでしまおうと思ったのだ。



ベロベロに酔っ払ってしまえば、きっと忘れられるのではないか。


そんな安易な考えが、頭に浮かんだから。
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