ランデヴー
「え、何? どうしたんですか?」


「着替えたい……トイレに行きたい……シャワーも浴びたい……」


「シャワーはダメです。俺キッチン行ってるんで、着替えて下さい」


「……いつ帰るの?」


「坂下さんが寝たら」


想像通りの答えに眉を寄せながらも今は反論する元気もなく、私はとりあえず倉橋君に従うことにする。



もそもそと着替えて倉橋君に「もういいよ」と声をかけ、ふらふらと洗面所へと向かった。


シャワーを浴びてやろうかとも思ったが、昨日浴びてくたくたになったことを思い出し、大人しくやめて洗顔と歯磨きだけする。



トイレを済ませて再びベッドに戻ると、倉橋君はさっき貼りかけていた冷却シートを、今度こそ私に貼り付けた。


ひんやりと冷たい感覚が気持ち良くて、目を閉じる。


再び目を開けると、そこには優しい眼差しで私を見つめる倉橋君がいた。



憂いを帯びた綺麗なその瞳と見つめ合った、その瞬間だった。



床に放置されたままの私の携帯が、ウーッと唸り声を上げた。


同時に、私の体もビクンと震える。
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