ランデヴー
私が最初に先輩との人間関係に失敗しているからということもあるが、倉橋君には立派に仕事を覚えてもらいたい。


そんな強い思いが、私の心の中には常にあった。



だが……それが仇となり、面倒を見すぎたのだろうか、とも思う。


だから私は、倉橋君から恋心を抱かれるようになってしまったのだろうか。



そう考えると、何だかとても情けない気持ちになる。


やっぱり私はダメな人間なのかもしれないと、心が弱っている今、どうしても自分を責める方向へと考えが及ぶ。



不意にピピピッと小さく音が鳴り、体温計を取り出すとすかさず横から倉橋君が手を伸ばした。



「38度、か……。やっぱり高いですね。とにかく安静にしてて下さい」


倉橋君はそう呟くように言うと、体温計をケースにしまった。



今日彼がこの家に来てからというもの、ずっと主導権を握られっぱなしだ。


その倉橋君は、今度はいそいそと冷却シートを取り出し、私の額に貼り付けようとしている。


だが私はその手を不意に制して体を起こすと、ベッドから出ようとした。
< 377 / 447 >

この作品をシェア

pagetop