ランデヴー
彼はそんな私を黙って抱き締め、優しく背中を撫でてくれていた。



辛いときに優しい腕があることは、救われる。


私は倉橋君のことが、嫌いではない。


私を甘やかさないと言いながら、こうして本当は優しいことも知っている。


何よりも……この腕の中は、酷く居心地がいい。



でも……このままこの腕に身を委ねてしまうと、今度は倉橋君に依存してしまうのではないか。


もう1人では歩けなくなるよう気がして、それがとても怖い。



色んな気持ちを抱えながら泣き続ける私がその腕の中で疲れて眠るまで、倉橋君はずっとそうして私を包み込んでいてくれた……。
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