ランデヴー
時間が経つにつれてみんながパラパラと帰って行く中、ふと隣を見ると倉橋君はまだ席に座ったままだった。
「帰らないの?」
そう尋ねると、倉橋君は「えぇ。もう少し」と言いながらカタカタと仕事を続ける。
もしも私を待っているのなら……と思いかけるも、それが自信過剰な考えだと気付き、途端に恥ずかしくなった。
倉橋君だって、いつまでも私にばかり構っている訳にはいかない。
私のせいで、少なからず彼にも仕事のしわ寄せが行っているはずだから。
倉橋君は……あの日散々泣き疲れて眠ってしまった私をベッドに寝かせてから、出て行ったみたいだった。
そして翌日も会社を休んだ私の為に、帰りにお見舞いに来てくれた。
ぼーっとベッドに横になっているだけの私を余所に、おかゆを作り、食べさせ、そして薬を飲ませ、寝かしつける。
私はいつも、倉橋君が帰る所を見ていない。
起こさないようにとそっと出て行く姿を思うと、キュッと胸が締め付けられるようだった。