ランデヴー
でも……。


私は意を決して、スッと息を吸い込む。


これで最後、そう自分に言い聞かせながら。



「倉橋君……。ごめん、食事また今度でいいかな……?」


私は倉橋君の顔を直視することができず、俯いたままそう言った。


だって私から誘ったのに……寂しい自分の心を埋める為に。


本当に最低だ。



彼はどんな気持ちで、どんな顔をして、私のことを見ているのだろう……。


怖くて顔を向けることができない。



しばしの沈黙の後「わかりました」という倉橋君の声と共に、買い物袋がグイッと押し付けられた。


慌ててそれを受け取り顔を上げたが、もう彼の顔を見ることはできなかった。


少し肩を落とした後ろ姿を呆然と見送りながら、胸が苦しくなる。



でも……やっぱり、私は陽介の話を聞きたかった。


わざわざ家に来てまでしたいと言う、その話の内容を知りたかった。


好きだからとか、忘れられないから、とかそういう理由ではなく、ただ純粋に……。
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