ランデヴー
確かに、倉橋君に彼女がいないのは驚きだ。


望めば何でも手に入りそうな顔をしているのに。



「そうか……好きな女がいるんだな? そうに違いない」


少し目を細めるようにして腕組みをした佐原さんは、何故かドヤ顔で倉橋君に詰め寄った。



「あー……まぁ、はい」


倉橋君はふんわりと笑いながら、馬鹿正直に答える。


その横顔は思い詰めたような儚いような複雑な色を見せ、切ない想いを抱いているのだということを匂わせた。



「やっぱりな! あれか? 宣伝部の前田か? 彼女可愛いよな、俺だったら彼女にする」


「佐原さん……節操ないな」


「はぁ? 大地だって可愛いと思うだろ?」


「まぁ……可愛いとは思いますけど……」


「違いますよ、彼女じゃないです」


倉橋君の好きな人当てをしていた佐原さんに、倉橋君はきっぱりとそう言い放った。
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