ランデヴー
「そう、だね……そうかもしれないね……」


『私はさ、ゆかりに2番目の女だからって卑屈になって欲しくないんだ。自分のしたいことして、それを香川さんも認めて、お互い自立してこそいい関係って言えるんじゃないかな?』


「うん……。有り難う、佐和子」


『別にー。私は私の意見を言っただけ。まぁ、花火楽しんで来なよ。会場で会えたら会おうね」


そんな楽しげな声で、電話は切れた。



私は「本当にいいのかな?」とまだ迷う気持ちと、「私だって楽しんだっていいじゃない」という気持ちとの間で揺れ動いていた。


断るかどうするかは、私次第。



でも、私の頭の中には倉橋君のあの嬉しそうな笑顔が消えずに残っていた。
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