にょんさま。



 その時、四季の携帯が鳴った。着信は忍だ。

「忍?」

『四季?…急に雨降り出したから…。四季、傘持っていなかったかもって思って…』

「うん。少し降られた」

『大丈夫?傘持って行こうか?』

「急用は?もうすんだの?」

『──』

 返答に詰まって忍が沈黙した。四季は優しく言葉を続ける。

「今、忍の声が聞きたいと思ってた。指輪、見つかったよ。安心して」

 忍は四季に話してもいない指輪のことを──しかも見つかったことを伝えられて、面喰らう。

『指輪って…。どうして四季がそのこと…。それに見つかったって…』

「忍が泣きそうになっているの見て、にょんが探してくれたみたい」

『……』

 急用があると言っていたのに、雨が降り出して心配になって電話をかけてくる忍が、四季には愛しく思えた。

「会いたいな。迎えに来て」



     *



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