にょんさま。



 四季を迎えに来た忍を見て、にょんはお腹がいっぱいになった気がした。

(・ω・)「にょー(良かったでし。おや…)」

 身体がふわっと風に溶けて行く。そうか。役目は果たしたのだ。

 優しい気持ちをもらって幸せを返すことが出来たから。

 にょんの姿がいつのまにか見えなくなっていることに、四季と忍はあたりを見回す。

「にょん?」

 風の中のにょんはふたりにお礼を言った。

(・ω・)「にょにょん♪(にょんは忍のお役に立てたので、お別れです。優しい気持ちをありがとう。にょんのこと忘れないでね)」



 またね。



 四季と忍は雨にけぶる街並みを前に、しばらく立ち尽くしていたが、やがて忍が「ありがとう」と呟いた。

 忍がそっと四季の手を握る。

「ごめんね。四季。私…」

 四季はそれ以上の言葉を忍に言わせなかった。

「言わなくてもいいよ。わかってるから」

 忍がほっとしたように四季の顔を見た。自分だけに向けてくれるその微笑み。あなたがいるから優しくなれる。

 忍はその頬にキスをした。



        *Fin*



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