にょんさま。
「ママ、アイスもどったよ」
子供は嬉しそうにするが母親は怒った。
「バ、バカっ!落ちたものは食べられないの!もう捨てちゃいなさい!さ、帰るの!」
ぐい、と子供の手を掴み、母親は小さな手からアイスのコーンを取り上げ、くずかごに捨ててしまった。
子供は再び大泣きになる。
子供は敏感である。アイスクリームの気持ちでも通じたのだろうか。
「ママ、捨てちゃだめ!アイス、痛いの!」
「何わけのわからないこと言ってるの!いい!?アイスがもどったなんておかしなこと言っちゃだめよ!」
「ママのバカー!」
せつなく、親子の会話が遠ざかってゆく。アイスクリームはくずかごの中でしくしく泣いた。
(TωT)「頑張ったのに報われないなんて…。ごめんです。アイスのために泣いてくれた可愛い君」
しくしく泣いていたのはアイスだけではなかった。にょんもついもらい泣きしてしまっていた。
(;ω;)「にょー(かわいそです。アイスの君)」
にょんの声に、アイスは何処から声がするのかと探し、くずかごを見上げているまるい物体に気づく。
(;゚ω゚)「???ここここれは~驚きです。何ですか?お仲間ですか?新種のアイスですか?」
言葉が通じたことに、にょんは喜んだ。
(・ω・)「にょん♪(にょんはにょんです!アイスではないですが、報われない誰かの味方です!)」
くずかごアイスはそれを聞いて戸惑ったようだったが、にょんに言った。
(;゚ω゚)「えーとー…。とりあえずこのままだとアイスは溶ける運命なんです。溶けて地面に流れて土やお花と仲良くなるのも人生ですが、アイスに生まれたからにはアイス的な人生を送るのも可能なんでしょうか?」