にょんさま。
にょんさま。2



 おひさまの出ている日は地面がぽかぽか気持ちいい。

(・ω・)「にょー(ぽかぽかです。秋晴れです。ほぁー。幸せー)」

 ふよふよとにょんは移動しはじめる。

 にょんはまだ自分の融点に出逢ったことがない。

 夏場のアスファルトは焼けそうに暑いが、特に焼けることも焦げることもない。 

 しかし。

(;-ω-)「にょー…(ふー…。暑いことは暑いでし。アイスクリームの気持ちがわかるでし)」

 アスファルトの上を歩いていると、今まさにアイスクリームが目の前で落ちたところだった。

 ソフトクリームと違い、アイスクリームはコーンの上にコロンと乗っている。

 アイスクリームを販売しているバイトの少女は、アイスが落ちるような盛りつけ方をしているわけではないのだが、子供が横にして舐めようとするので、コロンと落っこちてしまったのだ。

 子供は悲しくなってひゃあぁぁんと泣き出したが、地面に落ちたアイスクリームもショックを受けている。

(;゚▽゚)「あうあう…。アイスはアイスらしく美味しく食べられるものなのではー。これが世に言う『想定外』という事態か?僕は僕はどうすれば?」

 おろおろしているアイスクリームは、にょんと姿がちょこっと似ている。

 まるいところが。

(;・ω・)「にょー(親近感な存在でし。でも、こういう時ってにょんもどうしていいのかわからないでし。ふくアイスぼんに返らずでし)」

 にょんの思考が思考なのは、別に天気は関係ない。にょんが普通にそうなのである。

 というより人間の「常識」とかいうものが、にょんにはおかしなものに見える時がある。

 たとえば──。

(*゚▽゚*)「なせばなる!何事も!落ちたアイスは自力で盆に返ってみるべし!ハイヤー」

 アイスクリームの方は、人間よりもにょんに思考が近いようだった。

 そして気合いでジャンプをし、埃を振り払って、子供の持つアイスのコーンの上に着地したのである。

 子供はピタリと泣き止んでしまった。



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