海の恋人 ~人魚姫×最強総長~ 【上完】
10年前――――
静寂でどこか不気味な海。
俺は海に向かって、大声で泣いていた。
俺はここにいるんだって皆に知らせたかった。
「うぇ……ん!ヒック…、うぇーん!」
ピシャッ
誰もいないはずの海からなぜか魚の跳ねたような水音が聞こえた。
まだ小さい俺はとても怖くって海を出たいって思ったがなぜか砂浜に足を縫い付けられたように足がピクりともしなかった。
ピシャッ
ピシャッ
謎の水音は確実に俺に近づいていた。
俺は怖すぎて泣き止んでいた。
ピシャッ!!
一番大きく近くで聞こえた水音に俺は思わず目を閉じた。