運命の人



それは紛れも無く、今日、いや日付が変わったため昨日一日香織の思考を支配していた櫻田健一であった。


(なんでここにさくちゃんがいるの??)


客観的に考えれば昨日は金曜で今日は土曜。つまり週末であり、仕事帰りでも楽しめる夜桜はココ辺りではこの桜並木だけであるため、そう不思議ではない。


ただ、あまりにも良すぎるタイミングである。


香織は軽くパニック状態に陥り、時が止まったかのように佇んでいた。

この時、香織の心臓はバクバクと鳴り響き、その鼓動も感じられるほどであった。

一方香織の20m先に居る健一は、そんな香織の様子に気付かずことなく仲間と一緒に片付けを進めている。


時間にして10秒ほどであったものの、香織はふと随分長いことその場に立っているように思い、逃げるように駆け足で国道まで出るとタクシーを呼びとめ家へと急いだ。

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