ウエディング
[疾風side]

今日も憂鬱だ。
自分が置かれてる立場。
俺の家は大企業の経営をしている父を持ち、暴力団の娘である母を持つ。
自分にとってこの家は嫌いな場所だった。
俺は双子としてこの家に生まれて、長男のように育てられた。
小さい頃から経営のこと、事業のこと。
たくさんのことを頭に叩き込まれる生活。
俺はいつしか反発するようになった。
中学に入ってから爆発して、俺は不良の仲間入りをした。
喧嘩をする毎日。
怪我をすればその日家に帰ると親父に説教されて、殴られる日々。
自分にとってこれは日常。
どこの誰とも共感出来ない日々だった。
それでもそれが俺の居場所だった。
「疾風~。今日こそ抱いてよね」
学校に行くたびのこの言葉。
自分で言うのもなんだが、顔は結構カッコいい。
誰が見てもイケメンの枠にはいる。
ただ、俺は人を本気で愛せない。
それが俺の現状だった。
付き合い出すことは何度もあった。
なのに、自分は愛を見つけれずにその恋は終わっていった。
自分にとって女なんてセックスすればいい。
それが俺の考え方。
俺に近づく女は金目当てか、顔で判断したかとどちらかだった。
性格を見てくれるやつなんかいねぇ。
俺はこれでいい。
「ねぇ~疾風ってば!!」
びくっ!
「わりぃー。ぼーっとしてた!いいよ別に」
これで会話は終わる。
今日も女を抱いた。
それから毎日変わらない日々。
疲れるといえば疲れる。
だけどここが俺の居場所だ。

自分の価値。
それが見えなくなるのが俺だった。
誰かを本気で好きになる。
それは難しいのか?
俺はずっとそう思ってきた。
でも今やっとのことで見つける恋なんてしたくなかった。
だりぃー。
疲れる。
もういい。
それが俺の気持ち。
ホントは怖くて逃げてるのもわかっていた。
見つけたら居場所さえなくなるということが・・・
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