琥珀色の誘惑 ―日本編―
見当外れの逆恨みもいいところだ。
しかし、今のミシュアル王子に、そんな心の余裕などある訳がない。



王子が幸福になるのなら、と日本人女性との結婚に賛成したターヒルに比べ、このヤイーシュは完全に反対派だ。

――生活習慣の違う異教徒間の結婚は、不幸にしかならない。 

それがヤイーシュの意見だった。


彼の母親はクアルンに馴染めず、わずか五歳のヤイーシュを残しアメリカに帰ってしまった。
父親もすぐに亡くなり、青い瞳を持つ彼は部族の中にあって肩身の狭い思いをして育ったという。

そんな理由もあり、舞との婚約を破棄したい、という言葉を聞き、喜び勇んで本国から日本にやって来たのだ。 

ヤイーシュは王子に向かって言葉にこそしないが、『初めから判っていた』と言わんばかりの態度を取る。
ターヒルにも『これでよかったのだ』と話したという。


そして、そんな彼はミシュアル王子のためと言い、とんでもない提案をしたのだった。


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