琥珀色の誘惑 ―日本編―
「わたしの望みですって? どうして……王子様が来るんなら、なんで白馬に乗った王子様が迎えに来ないのよっ! それが、身長や体格がちょうどいいからって、なんであなたみたいな危険な国の王子様なわけっ!?」


どう考えても八つ当たりである。
そもそも王子様が迎えに来ること自体が異常なのだ。でも、舞は止まらない。


「人をモノみたいに扱って。お前お前って……。わたしは、結婚するなら死ぬほど愛してくれる人って決めてるの! そうじゃなきゃ、一生バージンで充分だわっ!」


ぜぇぜぇと荒い息を繰り返すほど、舞は思い切り叫んでいた。



ミシュアル王子が地面に落ちたサングラスに視線をやった時、傍にいたSPの男性がスッと拾った。
そのまま頭を下げ、うやうやしく差し出す。
彼は当然のように受け取ると、そのままサングラスを掛けた。


「舞、お前の望みはよく判った」


それだけ口にすると、王子は舞に背を向けたのである。


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