琥珀色の誘惑 ―日本編―
「――来日中の、クアルン王国ミシュアル王太子殿下ですが、予定を繰り上げまして明日、帰国されることとなりました。現在、病気療養中であられますお父上、国王陛下のご病状が思わしくないとの噂もあり……」
プツン。
静かにテレビが消えた。父がリモコンで消したのだ。
月瀬家の食卓である。母がキッチンに近い位置に座り、その隣が父だ。舞は母の向かいに座り、隣に弟の遼が座る。座席チェンジはあっても、遼が生まれた十五年前から変わらぬ家族構成だ。
舞はもっとニュースを見たかったが、父にそれは言えなかった。
ミシュアル王子は、公式には四日前に来日したことになっている。
実はその二週間近く前からやって来ていて、散々舞を振り回してくれたことなど誰も知らない。
いや、知っていても、誰も口にはしないだろう。それが、彼の置かれた立場なのだ。
桃子が訪ねてきてくれたのは今日の午後――。
舞はあれからずっと悩んでいる。
このままにしていいのだろうか? と。行動を起こすべきだろうか……でも、どうやって?
プツン。
静かにテレビが消えた。父がリモコンで消したのだ。
月瀬家の食卓である。母がキッチンに近い位置に座り、その隣が父だ。舞は母の向かいに座り、隣に弟の遼が座る。座席チェンジはあっても、遼が生まれた十五年前から変わらぬ家族構成だ。
舞はもっとニュースを見たかったが、父にそれは言えなかった。
ミシュアル王子は、公式には四日前に来日したことになっている。
実はその二週間近く前からやって来ていて、散々舞を振り回してくれたことなど誰も知らない。
いや、知っていても、誰も口にはしないだろう。それが、彼の置かれた立場なのだ。
桃子が訪ねてきてくれたのは今日の午後――。
舞はあれからずっと悩んでいる。
このままにしていいのだろうか? と。行動を起こすべきだろうか……でも、どうやって?