この男、偽装カレシにつき
ほんの少し親近感を抱きつつ。
足元に転がって来た百円玉を拾って、落とした女性に手渡しに行く。


「向こうにもありましたよ」


「どうもありが…」


顔を上げた女性の顔を見て驚いた。


「「あ!」」


大きな目をさらに大きく見開いて、私と一緒に声を上げたのは、橘センパイの元カテキョのアヤさんだったから。


それとほぼ同時に。
チャリチャリ、チャリーン!
店内に再び明るい金属音が響く。


アヤさんは、驚いた拍子に財布を傾けて、せっかく拾った小銭を再びぶちまけたみたいで。
足元には、さっきよりいっぱい小銭が散らばっていた。


「「あーっっ!!」」


私たちの声がまた重なる。


このおっちょこちょいっぷり、やっぱり私と同じ匂いがするわ。
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