この男、偽装カレシにつき
仕方なく一人で勉強を始めたものの、そわそわしちゃって内容がちっとも頭に入って来ない。


あれもこれも全部センパイのせいなんだからと言い訳しつつ、一時間もしないうちに私は気分転換のために家を出た。


散々街をぶらつくと喉が渇いてきたので、休憩がてらカフェに入る。


レジ横のショーケースに並んだスイーツがおいしそうだったけど、昨日チョコを食べ過ぎたから甘いものは我慢。


カウンター前で注文したホットコーヒーが出て来るのを待っていたとき。
チャリーン。
レジの方から小銭の散らばる音がした。


見れば、私の次に注文をしていた女性がその場にしゃがみ込んで、落とした小銭を拾ってる。


うわ、かわいそ。
財布の中身ぶちまけちゃったんだ。
私もよくやらかすけど、結構大変なんだよね。
< 210 / 499 >

この作品をシェア

pagetop