この男、偽装カレシにつき
「…デートしたい。
うんと恋人っぽいヤツ」


私の答えに、橘センパイはぶはっと吹き出す。


「なんじゃそら」


別に行きたいとこがあるワケじゃない。


ただ雪乃さんみたいに、雨の中、傘に隠れるように密会するんじゃなくて、ちゃんと恋人らしいことがしたい。


だって、私は雪乃さんと違って、れっきとしたセンパイのカノジョなんだから。


「いーよ。
期末テストが終わったらどこか行こうぜ」


ひとしきり笑い終えたセンパイは、私の髪に手を差し込むと、


「赤点取んなよな」


そう言って、とびきり甘いキスをくれた。
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