この男、偽装カレシにつき
橘センパイと会うのはイブ以来。
橘センパイを利用して大野センパイに乗り換えた、なんて誤解されたっきり。


どんな顔で会えばいいんだろう。
どんな話をすればいいんだろう。
なんてドキドキしていたのに、私の左隣には、一向に誰も腰掛ける気配がない。


「あれ?
隼人どこ行った?」


大野センパイがあたりを見回しながらつぶやく。


もしかして、橘センパイが現れないのは私のせい?
私と顔を合わせるのが気まずいから?
そう思ったとき。


「…あそこ」


龍センパイがおもむろに学食の入口付近を指差した。
< 354 / 499 >

この作品をシェア

pagetop