この男、偽装カレシにつき
その指の先を辿ると。


キャーキャーと騒がしい女の子の群れの中にいた橘センパイが、それを振り払いながらこっちに向かってくるところだった。


ふーん…。
相変わらずのモテっぷり。
私のことあんなに傷付けておいて、いいご身分ですこと。


隣に座ったら一言嫌味でも言ってやろうかな、なんて思っていたのに。


ガタンッ。
乱暴な音を立ててヤツが腰を下ろしたのは、私の隣じゃなくて、大野センパイの向こう隣だった。
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