この男、偽装カレシにつき
「慌てて電車のドアに膝を挟まれないようにね」


玄関口で。
大野センパイが私を追い出しながらそんなことを言ったもんだから、私は驚いて振り返る。


「でででで、電車のドア!?」


なななな、なぜ今その禁断ワードがっっ!


まさか、エッチが寸止めになった腹いせ?
大野センパイって、こう見えてやっぱりS??
なんて疑っていると。


「あれで落ちるヤツなんて、そうはいないからね」


センパイはそう言って苦笑した。


??
落ちるって、何が?


私が首を傾げるのを見て、センパイは困ったように笑うと。


「…悔しいから、俺が教えてやるのはここまで。
後は隼人に直接聞きな」


そう言って、私の頭を優しく撫でた。
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