406号室と405号室の2人。
決心して家出てきたのに最後の1歩が踏み出せない。
「俺…情けな」
「何が情けないんだ?」
「あ…おじさん」
振り返るとつぐみの父さんがいた。
「何俺ん家の前でうろちょろしてんだよ。お前ん家はあっちだぞ?」
「それぐらい15年間住んでんだから分かってるよ…」
「それもそうだな!それより何が情けないんだよ」
聞いてほしくないことを直球で聞いてきたな…。
「別になんでもないよ。それより家入んないの?」
「入る、入る。隆之介もこっち来るだろ?」
「…うん」
「じゃあ、さっさと入るぞ」
俺が5分も苦しんでいたのにおじさんはあっさりと玄関を開けた。
そして、いつもはインターホンも押さずに勝手に入っていた玄関にやっと入った。
「ただいま」
「あ、おかえりなさい。あら、隆之介も来たの?」
「うん。お邪魔します」
「はいはい。ご飯は?食べてく?」
「いや、家で食べる」
「そう。つぐみなら部屋よ」
「…うん」
行くか。