王子様は囚われ王女に恋をする
カイルはアリシアの体が震えていることに気づき
なだめるように背中をなでてやった。

「トーマス叔父様に妻にすると言われて
本当に怖くて…もうあなたに会えないのかと思いました」

アリシアは顔を上げると
濡れたエメラルドグリーンの瞳でカイルを見つめる。

「他の誰のものにもなりたくない。
だから、私をあなたの妻に…」

アリシアの言葉はカイルの口づけに遮られた。

その背中を抱きしめて
アリシアもカイルの想いに精一杯応えるように口づけを返す。

「いますぐにでも妻にしたいくらいだよ」

カイルは唇を離してささやく。

「予定通りに結婚式を挙げよう」

アリシアはこくんと小さく、でもしっかりとうなずき
カイルの首にその細い両腕をまわして抱きついた。

「アリシア、愛してる」

耳元でカイルの心地よい声がする。

お互いにこれ以上近づけないというくらいまで近づいて
二人の間の隙間がなくなるくらいに抱きしめ合う。

カイルの情熱はとどまるところを知らず
アリシアもまたその想いを喜んで受け入れた。

数日ぶりの想いのたけをこめて
カイルはアリシアを一晩中愛した。
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