王子様は囚われ王女に恋をする
「急げ!王はどこかにいるはずだ。探せ!」

味方の兵士に命令する。

(どこにいるんだ?)

騒然とした戦いの中で
王の姿を見つけられないことに苛立ちを感じる。

「カイル様!隠し扉です!」

兵士のもとに駆け寄ると、そこには確かに隠し扉があった。

「行くぞ!」

扉を開けると、その先にある細い廊下を進む。

そこを抜けると広間に出た。

「カイル様…これは…」

側近であるブラッドの声に
カイルは返事ができずに立ちすくんだ。

目の前に広がるのは血の海。

自らの剣で体を貫いた王と
そのそばに寄り添って倒れる王妃の姿。

幼いころの記憶の中で
優しく笑いかけてくれた2人の変わり果てた姿に体が凍りつく。

「遅かったか…」

呆然とした足取りで2人の亡骸のもとへ向かい
カイルはそのそばにひざまずいた。

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