王子様は囚われ王女に恋をする
舞踏会の次の日、
カイル王子の側近ブラッドがアリシアを訪ねてきた。

「カイル様の使いで来ました」

ブラッドはそう言うと黒い長めの前髪の間から
深い緑の瞳でまっすぐにアリシアを見た。

「アリシア様のお加減がよろしければ
カイル様が城外へお連れするとのことです」

「え?」

城外という言葉に耳を疑う。

この国に連れてこられてから
城外へは一度も出ていなかったからだ。

「アリシア様の気が向けばとのことです」

言外に「命令ではない」という意味を感じとり
アリシアは昨日カイルに言われた言葉を思い出した。

しばらく考えたあと、彼女は意を決してブラッドを見た。

「城外に連れて行っていただきたいと
カイル様に伝えてください」

「承知しました」

ブラッドはそう言うと礼儀正しくお辞儀をして出ていった。

「アリシア様、城外へ行けるんですね!」

「そうね…」

久しぶりの城外への外出でうれしそうなイライザを見ながら
アリシアは戸惑いを隠せなかった。

カイル王子が何を考えているのか。

それが知りたくてたまらなかった。

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