王子様は囚われ王女に恋をする
その日から、数日カイル王子は城に滞在した。

アリシアより3つ年上の王子は
他国について学ぶために諸国に滞在していたのだ。

王子は時間ができるとよく遊んでくれた。

「カイル様は将来王様になるの?」

まだ8つだった幼い彼女の質問にも
カイル王子は真面目に答えてくれた。

「そうだよ。いずれは王位を継ぐことになる」

大人びて見えるその横顔に胸をときめかせながら
アリシアは何も考えずに聞いていた。

「大人になったら、どこかの国の王女と結婚するの?」

「たぶんそうなると思う」

「じゃあ、アリシアが
カイル様のお嫁さんになってあげる!」

「えっ?」

驚いたようにアリシアを見たカイルは
なぜか顔を赤らめた。

「カイル様のこと好きだからお嫁さんになりたいの!」

しばらく黙ったまま彼女を見つめていたカイルは
やがて優しく微笑んだ。

「本当にお嫁さんになってくれる?」

「うん!」

即答した王女の手を取ると
カイルは額にそっとキスをした。

「約束だよ。アリシアが大きくなったら迎えに来るから」

スカイブルーの瞳が自分だけを見てくれるのがうれしくて
アリシアは笑顔になった。
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