王子様は囚われ王女に恋をする
束の間の幸せ
気持ちが通じ合ってからというもの
カイルは少しでも時間ができるとアリシアに会いに来た。

「カイル様、あの…大丈夫なんですか?」

夕食を一緒に取ったあと
隣に座って優雅にお茶を飲むカイルにアリシアは言った。

何を聞かれたのか分からないというように
カイルはアリシアを見る。

「あの…、来てくださるのはうれしいのですが
お忙しいから無理されてるのではと」

「心配してくれてるのか?それとも…」

カイルは少し悪戯な視線をアリシアに向ける。

「もしかして僕が来るのは迷惑なのか?」

「迷惑だなんてっ…」

うろたえたように全身で否定する彼女を見て
カイルはクスクスと笑った。

からかわれたことが分かったアリシアは
子供のように頬を膨らませる。

「カイル様、ひどいっ。心配で聞いただけなのに。
もう知りません!」

ぷいっと背を向ける彼女の姿は
あまりにもかわいらしい。

怒ったせいで頬から首筋の白い肌が
いまはピンク色に染まっている。

腰まであるプラチナブロンドの髪は
艶があって輝いていた。

「アリシア、からかったりしてすまなかった」

謝罪の言葉にもアリシアは背を向けたままだ。

カイルはそんな彼女を後ろからふわりと抱きしめる。


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