失恋ショコラ【短】
あたしが編集長から篠原の担当者に任命されたのは、初めて彼に会った直後の事だった。


入社して1ヶ月そこそこの新人にそんな大役が与えられるなんて、今考えたらあまりにもおかしな話だけど…


純粋な篠原のファンだったあたしは、その役割に飛び上がるような勢いで喜んだ。


その時、『何があっても篠原櫂の機嫌を損ねるな』と付け足されたものの、憧れの作家の為なら苦労も厭(イト)わないつもりで頷いた。


だけど…


担当者として接した篠原はとにかく暴君で扱い辛く、締切を守らない彼のせいで編集長には毎回怒られる始末…。


とにかく、いい事なんて一つも無いのだ。


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