失恋をした君と私の恋


☆沙羅side


「え…」
自分の漏れた声が情けない

私の目に映るのは、
敬斗と奈々がキスしている
それも敬斗から…。

「おいっ!」

私が体が動けずにいる時、
隣にいた涼太は、
とっさに2人を引き離し
敬斗を殴っていた。

「ふざけんなよ!敬斗!」

久しぶりに見た。
涼太が本気で怒っている。
奈々は涼太の腕の中。

「なんで涼太がキレてんの?」

「は?」

「宮田が好きなのかよ!?」

敬斗がそう攻めると涼太は、
「俺が聞きてーよ」
と言ってから、
奈々の手を引いて
教室を出て行った。


「いってー…」

敬斗はその場に座り込んだ。

「ちょっ、大丈夫!?赤いよ!?」

私が敬斗に近づくと、

「来んな」

と、敬斗は睨んできた。

「でもっ…」

「沙羅には関係ねぇから」

きっぱりと答える敬斗。

私と敬斗の間に
厚い壁ができたようだった。

私は敬斗に背を向けて、
教室を出ていった。


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