絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
香月は電話を切ると、ようやく頭を回転させ始める。さて、どんな風に切り出そう。
宮下は知っている……そんな気がした。
しかし、そんなはずはない。
知って黙っていられるような立場ではない。
すぐにエントランスに車が入ってくる。何度か乗った白のスカイラインだ。
香月はロビーから出ると自らドアを開けてすぐに乗り込む。
「すみません、突然」
「いや、いいけど……」
スカイラインはすぐに走り出す。
「あ、ご飯食べてないんですよね」
「ああ、どうしようかな……」
「つ、作ってもいいんですよ?」
「いや、いいよ(笑)、とりあえず、話を聞こう、飯はその後でいい」
「……すみません」
「いや、重要な話だと思うよ」
「……はい……」
しばらく走ると新都マンションが見えてくる。ここに入るのは2度目だ。なかなかのマンションなのだが、セキュリティが少し甘く、ロビーから部屋までは誰でも入れる。
以前ここへ来たときも、自分は憔悴しきっていた。ここが心のより所になっているのだろうか……、そんなことを考えながら、無言でエレベーターを上がる。
エレベーターから見える景色は、どこにでもある夜景であったが、今はそれが少し特別なものに感じられた。
「どうぞ、今日は本当に掃除してないけど」
「すみません、突然、お邪魔します」
宮下とは対照的に丁寧に靴を脱ぐ。
廊下を進むと、窓の向こうの景色が前回見た時とは全く違い、真っ暗な中にキラキラと無数の灯りが広がっていて、まるで別空間のようであった。あのときは確か空色で、佐伯がえらく感動していた。
そう確か、モデルルームみたいだと、そう言った。
「……」
宮下は忙しそうにテーブルの上をとりあえず掃除している。確かに今日はモデルルームとは言いがたい有様で、ビールの缶を中心とする食べ物のカスがガラスのテーブル上に広がっていた。
「ああ……悪いな。……悪い、お茶しかないけど」
「あ! いえ、お構いなく! あの、お話だけしたら私、すぐ帰りますから」
「ああ、まあそうだけど……」
宮下は言いながら冷蔵庫から麦茶を出してコップに2つ注ぎ、素手でそれを、片付いたテーブルの上に置いた。
「はいどうぞ」
「すみません、ありがとうございます」
ようやく香月はテーブルの前の黒いソファに腰掛けた。
「ええと……」
宮下はまだ落ち着かず、上着を脱ぎ、ネクタイと時計を外してから、ようやく香月と一メートル距離を置いて、麦茶の前に腰掛けた。
「はい、えっと、玉越」
宮下は知っている……そんな気がした。
しかし、そんなはずはない。
知って黙っていられるような立場ではない。
すぐにエントランスに車が入ってくる。何度か乗った白のスカイラインだ。
香月はロビーから出ると自らドアを開けてすぐに乗り込む。
「すみません、突然」
「いや、いいけど……」
スカイラインはすぐに走り出す。
「あ、ご飯食べてないんですよね」
「ああ、どうしようかな……」
「つ、作ってもいいんですよ?」
「いや、いいよ(笑)、とりあえず、話を聞こう、飯はその後でいい」
「……すみません」
「いや、重要な話だと思うよ」
「……はい……」
しばらく走ると新都マンションが見えてくる。ここに入るのは2度目だ。なかなかのマンションなのだが、セキュリティが少し甘く、ロビーから部屋までは誰でも入れる。
以前ここへ来たときも、自分は憔悴しきっていた。ここが心のより所になっているのだろうか……、そんなことを考えながら、無言でエレベーターを上がる。
エレベーターから見える景色は、どこにでもある夜景であったが、今はそれが少し特別なものに感じられた。
「どうぞ、今日は本当に掃除してないけど」
「すみません、突然、お邪魔します」
宮下とは対照的に丁寧に靴を脱ぐ。
廊下を進むと、窓の向こうの景色が前回見た時とは全く違い、真っ暗な中にキラキラと無数の灯りが広がっていて、まるで別空間のようであった。あのときは確か空色で、佐伯がえらく感動していた。
そう確か、モデルルームみたいだと、そう言った。
「……」
宮下は忙しそうにテーブルの上をとりあえず掃除している。確かに今日はモデルルームとは言いがたい有様で、ビールの缶を中心とする食べ物のカスがガラスのテーブル上に広がっていた。
「ああ……悪いな。……悪い、お茶しかないけど」
「あ! いえ、お構いなく! あの、お話だけしたら私、すぐ帰りますから」
「ああ、まあそうだけど……」
宮下は言いながら冷蔵庫から麦茶を出してコップに2つ注ぎ、素手でそれを、片付いたテーブルの上に置いた。
「はいどうぞ」
「すみません、ありがとうございます」
ようやく香月はテーブルの前の黒いソファに腰掛けた。
「ええと……」
宮下はまだ落ち着かず、上着を脱ぎ、ネクタイと時計を外してから、ようやく香月と一メートル距離を置いて、麦茶の前に腰掛けた。
「はい、えっと、玉越」