2年3組乙女事情
17番 山村瑛梨奈

「え?」



何なんだろう、この状況。



「……あ」


「ん?」



椿駅のホーム付近。


目の前にあるのは、車いすのマークがはっきりとアピールされてるトイレ。



少し広いそのトイレは、あたしには縁のない場所だ。



「律、知り合い?」



もちろん、目の前にいる見覚えのある制服の男女にだって。


……あたしの記憶が正しければ、だけど。



「あ、あぁ。まぁ……」



見るからに健康そうなこの2人に、どうしてこの場所が必要なわけ?


大体、トイレって男女2人で一緒に入る場所じゃない。



「ふーん、まぁ良いや。行こうよ、律」



そう言いながら、女の子は“律”の腕を引いた。



ぴったりと絡んだその腕が視界に入って、自然に眉間が固くなる。



「お、おう。……じゃあな」
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