主婦だって恋をする

「……トイレ、借りていい?」



しばらく黙っていた彼女が、こたつの中からそう言った。



「ああ、玄関に一番近い扉」



ニンニクをスライスしながら答えると、彼女はリビングから出ていった。


あれ、生クリームあったっけ……?


冷蔵庫を開けると、ちゃんと新品があった。


よしよし…あとベーコンベーコン……


あ、お湯沸いた。パスタ茹でないと。





――パスタを湯の中にパラパラと投入し、自分の作業が落ち着くと急に姿の見えない彼女のことが気になった。



「……ちょっと長くないか?」



まさか、トイレ借りる振りして逃げたんじゃ――!


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