主婦だって恋をする
働きたい

いくらか落ち着きを取り戻した様子の慶が、ぽつりぽつりと事情を話してくれた。



「涌井さんっていう同い年の、女の子だったんだけど……」


「……うん」


「彼女、不倫してて……」



その言葉に少し驚きを感じつつ、私は静かに話の続きに耳を傾ける。



「その相手と別れるために、涌井さんの家に行って彼氏のフリさせられたんだ。
それで、思惑通り不倫相手は勘違いしてくれたんだけど……」



慶は当時の状況を思い出したのか、声を再び震わせる。



「涌井さんに、彼の愚痴に付き合えって言われて……断った。俺、本物の彼氏じゃないから慰められないし……」


< 157 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop