主婦だって恋をする

じん、と痛む左頬。

その痛みとは裏腹に、嬉しかった。……成美が本気で怒ってくれたから。



「……ごめんなさい、ひっぱたいたりして……でも、もうしないって約束して」


「……しないよ」


「本当に?」


「うん、約束する……その代わり、最後のお願い」



ゆっくり彼女を抱き締めて、耳元に唇を寄せた。



“目一杯、愛させて……”



ほとんど声にならない声で、俺はそう囁いた。


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