主婦だって恋をする

「俺、歯ブラシ見てくる」



旦那がいきなりそう言い出し、成美さんを置いてその場から離れた。

……今しか、ない。



「……優しそうな旦那さんですね」



後ろから声を掛けると、成美さんは振り向かずにびくりと肩を震わせた。



「は……話しかけないで」


「別ににただ店員と話してるフリしてれば平気だって。
ね、こっち向いて?」



ゆっくりこちらを向いた成美さんは頬を染めながら困った顔をしてて、相変わらず可愛かった。



「俺……靴、捨ててないよ」



そう言ってあの紙を差し出した俺。



「これは……?」


「成美さんがくれたやつ。一番下、見て」


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