主婦だって恋をする

丁寧に紙を開いた成美さんは、そこに書かれていたものに気づいて戸惑いながら俺を見る。



「これ………」


「俺の携帯の番号と、アドレス」


「要らないわよ……」



すぐに突き返されたけど、俺は受け取らない。



「取りに来る気になったら、連絡して?」



彼女に返事をする隙を与えずにそう言い残し、俺はレジに戻った。


成美さんご夫妻は温かい湿布と冷たい湿布の両方、それに色違いの歯ブラシを買って帰って行った。


俺も買っておこうかなー、ピンクの歯ブラシ。


旦那と一緒の所を見たというのに、俺は楽しくて仕方がなかった。


成美さんは絶対連絡してくる。

絶対に……


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