主婦だって恋をする

「……私は後でいいわ。まだ洗い物残ってるし」



それに、慶に送るメールもまだ途中までしか打ってない。



「……そう、わかった。タオルありがとう」



ゆっくり扉は閉まり、夫はまた水蒸気の中に消えた。



…最近の彼はなんだか恋人同士のようなことをしたがる。


一緒に出かけたときに手を握ってきたり、並んでソファに座っているときに私の膝に頭を乗せてきたり……

夜、求められる回数も増えた。


もしかして……何か気付かれている?


小さな不安が私の心に影を落としたけれど、探りを入れられたり私を疑うような言動はなかったから、気に留めないことにした。


夫の変化なんかよりもっとずっと、私は、慶に夢中だった。


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