また、屋上で

01:与えられた秘密



ある高校には秘密の鍵が二つあった。それで開けられるのは、
別館の屋上の扉。

ひとつは一人の男子が
ひとつは一人の女子が所有する決まりである。どちらとも三年生というのも絶対条件だった。


毎年、卒業式の日に一年間鍵を保有していた者が新しい所有者に受け渡す。
男子生徒から次の代の男子生徒へ、女生徒から次の代の女生徒へ。
新しい所有者は前所有者が自由に選ぶ権利があり、慎重に選ばなければならない。選ぶにあたり、重要なのは以下の通り。

二年生の卒業式から三年生の卒業式まで一年、秘密を守り抜ける。
誰かにみつかるような迂闊な行動をしない。かつ、この鍵の価値を理解できる。

鍵を受け取った日から一年の間で、これを満たす生徒を探すのも役目の一つであった。
失敗は許されない。
秘密を知られた上で断られたなんてことはあってはならないのだ。




次の世代へ、
この秘密を共有し繋いでいく―・・




















「・・・・・かぎ」

手のひらにある鍵を見つめる。
昨日の夜、先輩からメールが届いた時のことを思い浮かべた。








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