Colorful Memory

散歩

そして私達は、手を繋いだり…ましてやくっついたりすることもなく、至って普通に歩いていく。

だけど、遠ざかることもしなくて。


その微妙な距離感が、なぜかもどかしかった。



そして、私がそんなもどかしさを味わっている間にも時間は進むもので。


いつの間にか、私達は病院の庭まで出ていた。

そこは、綺麗な花で彩られていた。

架衣が運ばれたのは、県内でも有名な病院。

体だけでなく心のケアもって感じなのだろう。


そのお陰か、さっきまでは気まずかった沈黙も、心地よいものになる。

花が、二人の心に彩りを加えたみたい。


さっきまで灰色に見えた空間は、色とりどりの花でうめつくされていた。

< 12 / 21 >

この作品をシェア

pagetop