Colorful Memory
それに、架衣は一瞬だけ嬉しそうな、照れたような顔をする。


…そんな顔しないでよ。
私が告白をOKした時みたいな…そんな顔。

ほだされちゃうじゃん。
私が好きなのは、記憶がなくなる前の架衣なのに。


何だか、架衣は架衣で…確かに架衣なんだけど、裏切ってるみたいで 胸が傷んだ。

これは…架衣の顔をした別人。


私はそれをしっかりと心の中に刻んでから、ドアの前で待っている“架衣”の所へ歩いていった。



でも、架衣はやっぱりそれに嬉しそうな顔をして。

あぁ、やっぱりダメかも。
私が彼女ってことを忘れた以外はおんなじ架衣に、私は早くもほだされかけていた。

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