Colorful Memory
そして、そのまま踵をかえそうとして―――

ガタンッ!

さっきよりも大きな物音に、思わず動きを止めて振り返った。

多分、普通の音ならそのまま気にもせずに出ていったけど。


だけど。
この音だけは無視出来なかった。

「架、衣――っ」


架衣の音だ。
架衣の…


私は、その場で更に涙を溢れさせた。

教室で。
架衣にベタベタとまとわりついてくる女の子がいた時。

架衣はいつも、ガタンと立ち上がった。
振り払うみたいに。


そして

「悪いけど、帰って。
正直言って、困る」


礼儀はかかないで、だけどはっきりと拒絶するんだ―――

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