Colorful Memory
でも、普段はその後ろにつく
“彼女いるから”
って言葉がなくて。

あぁ、これは架衣だけど私の知ってる架衣じゃないんだって思ったら、更に涙が溢れてきて。


架衣の瞳に、追い出されるようにして病室を出た女の子達の喧しい声をバックに、私はただ泣き続けた。


そして、私の顔が腫れぼったくなって 更にひどくなった頃。

「…散歩、行こうか」

架衣が、やっぱり困ったように眉を下げながら 私を散歩に誘ってくる。

…いつもの架衣だったら、笑顔で誘ってくれるのに。

無理して誘ってくれなくてもいいよ。

そう言ってやろうかと思ったけど、今は記憶が無いんだから…と、その言葉をのみこむ。

代わりに私は、その言葉にコクンと頷いた。

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