SWIMMING*SCHOOL
実らなくて、いい。
高望みしすぎなんだよ大体。
だいぶ幸せだよ、私。
梶原コーチにたくさんお礼を言って、サウナを出た。
濡れた髪を拭いて、水着を脱いで、服を着る。
淡々と帰る支度を済ませてるつもりでも、顔がにやけてしまう。
今日のことを思い出すと、悲しく寂しい気持ちも蘇ってくるけど、大半がにやけてしまうほど幸せな出来事ばかりだった。
にやけを隠すように最後に乱暴にごしごしと髪を拭いた。
梶原コーチの殺人的なかっこよさを思い出しながら更衣室を出ると、
さっきサウナから出て別れたはずの、たった今思い出している真っ最中だったイケメンがコート姿で壁にもたれて立っていた。