ほんの少しの勇気があれば
大沢くんを意識するようになったのは、中学2年のこと。
中学2年の夏休み、3年の先輩が部活を引退した後、大沢くんは、男子バスケ部のキャプテンになった。
誰よりもバスケが上手い大沢くん。
人望の厚い大沢くん。
冷静に物事を見ることが出来る大沢くん。
誰もが認めるキャプテンだった。
一年の頃は、私よりも少しだけ高いくらいの背丈だったのに、二年になって、急に背が伸び、そしてキャプテンになったことで、大沢くんは大人びて見えるようになった。
キャプテンになった大沢くんは、途端に女子からキャーキャー言われるようになった。
そんなに人気のある大沢くんだったけれど、女の子と話してる姿を、私は、見たことがなかった。
男の子とは、笑って話す大沢くんだけど、女の子を寄せ付けさせない、近寄りがたい雰囲気があった。