バレンタイン・キッス
おかしいな。
お菓子作りってもっと簡単だと思ってた。

手間が多すぎじゃない?


「…千夏は何作ったの?」
「簡単なのだよ。生チョコとチーズケーキ作ってみた」

ジャジャンと満足げに見せた千夏のお菓子は売り物みたいに綺麗で美味しそう。


「当日も同じの作るの?」
「んー。悩みどころ。生チョコは作るとして、ケーキは配るのめんどくさいからなぁ」
「クッキーとかにする?」
「それもあり。セットにして渡そうかな」
「瀬戸くん、喜びそうだね」
「そうだね…って…。えっ?!」

びっくりした顔で私を凝視する千夏に対して、私はニヤニヤ顔が止まらない。

私、知ってるよ。
千夏に好きな人がいること。

人のことにはうるさい千夏だから自分のことあんまり話してくれないけど、私だって千夏のこと気になる。

見てたらわかっちゃった。


「男バスの瀬戸浩太くん。いつの間になかよくなったの?」
「いやいやいや。違うし!そんなんじゃないよ」
「隠してもバレバレだから!夏くらいまでそんな話してなかったのに、最近めちゃくちゃ楽しそうに2人で帰ってるの知ってるんだから!」
「見てたのっ?!」


顔を真っ赤にして慌てふためく千夏は可愛い。
こりゃ瀬戸くんも好きになる。

なにがきっかけ?
好きだなって感じたのは?
実はもう付き合ってる?

止まらない質問に千夏はストップをかける。
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